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岡山大学 理学部 生物学科

自然科学(理・工)

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先端数物系科学

環境および時間生物学分野 構造生物学分野 発生機構学分野

研究分野の紹介

理学部生物学科では、分子遺伝学、植物進化生態学、構造生物学、神経制御学、環境および時間生物学、生体制御学、発生機構学の各分野に所属する教員が、生命現象の多様性や共通性の背景にある基本原理を多面的な視点から探求し、最先端の成果を世界に発信しています。とりわけ、光合成研究では古くから日本の研究拠点となっており、その高い研究力は数多くの著しい成果とともに世界に広く認知されているところです。生き物とは何か、多様な生命現象の分子基盤はどのように成り立っているかという生命の本質に迫る基礎研究に徹しながら、新たな生物機能や生理活性分子の発見を通じて、我々の生活の向上や地球環境の改善においても大きく社会貢献したいと考えています。各分野において産学連携や実学に発展する可能性のある研究が推進されていますが、多岐にわたる都合、以下では3分野に限定して取り上げます。

環境および時間生物学分野

体内時計のしくみを探る

サーカディアンリズムとは、多くの生物にみられる約24時間の周期性で、例えば動物の行動や感覚、内分泌や代謝などに顕著に現れます。このリズムを制御する体内時計は、「時計遺伝子」の働きによって動くと考えられています。私たちはモデル生物キイロショウジョウバエを用いて、体内時計のメカニズムの解明を目指しています。体内時計の研究は、生物の環境適応性を明らかにしようとするものですが、人の生活リズムなどの身近な問題にも関わります。

【研究の基盤科学技術と産学連携の可能性】
体内時計の研究は、基礎生物学的な貢献の他に、人の生活リズムを理解し改善につなげることや、睡眠関連の医薬学的な意義、効率的な農業など多岐に渡って波及効果を持ちます。時間生物学研究室では常時、約千匹のキイロショウジョウバエから活動リズムを自動計測することが可能です。また、摘出した脳を用いた体内時計に関わる神経細胞の可視化を行っています。例えば、化学物資や健康食品を与えた場合の行動リズムへの影響、神経細胞の活性化などを解析することが可能です。その他、特定の遺伝子をターゲットにした遺伝子組換えキイロショウジョウバエの作製も行っており、遺伝子の役割を解析することができます。多くの昆虫は体内時計に従って行動していることから、体内時計の研究を通して、ミツバチなど農業系の益虫の効率的な利用、害虫の効率的な駆除などにつながる可能性があります。

構造生物学分野

タンパク質の形と働きを原子のレベルで解明する

生体内ではタンパク質とよばれる有機化合物が水に次いで多く存在しています。タンパク質は生命現象を担うために特別な形をしており、その形によって試験管では起こりにくい反応を極めて効率的に進ませることができます。私たちはX線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡解析などの手法を用いてタンパク質の形と働きを原子のレベルで解明する研究を行っています。これまでに光合成に関わるタンパク質複合体(光化学系I、光化学系II)や細胞膜を隔てた物質輸送に関わるタンパク質(Lsi1)の立体構造を明らかにしました。

【研究の基盤科学技術と産学連携の可能性】
私たちはタンパク質の構造生物学的研究を行うために、興味のあるタンパク質を大腸菌、昆虫細胞、動物細胞を用いて大量に生産させる技術、タンパク質を細胞から機能を維持した状態で取り出す技術、タンパク質の結晶を与える条件を膨大な溶液組成から迅速に探索する技術、タンパク質の立体構造を計算して解析する技術などを有しています。
これらの技術を駆使して得られたタンパク質のかたちから生体内での働きを理解することで、タンパク質に作用して私たちの体の働きをコントロールする化合物(薬剤)を作製したり、作物のタンパク質を改変して生産性や安全性を向上させたり、人工光合成のような革新的な科学技術を開発することに役立つと期待されます。

発生機構学分野

植物の発生・分化のしくみを分子レベルで明らかにする

植物のからだを構成する根、茎、葉、花などの器官は、様々な組織や細胞からできています。これらの器官が正確に作られるのは、適材適所に遺伝子の発現を制御する調節因子タンパク質が働き、未分化な細胞が特定の役割を持った細胞へと分化するからです。私たちはこうした細胞分化や器官形成の鍵となる因子を見つけ、植物のからだ作りのしくみを分子レベルで明らかにする研究を行っています。具体的にはモデル植物のシロイヌナズナを研究材料に、草丈の短い矮性変異株の原因遺伝子の単離から、サーモスペルミンと呼ばれる低分子塩基性化合物が維管束の道管分化を抑制する重要な成長調節物質であることを発見しました。その働きとして特定の遺伝子の翻訳促進効果があることを見つけ、詳細な作用機構の解明を目指しています。

【研究の基盤科学技術と産学連携の可能性】
サーモスペルミンは植物の道管分化の制御に関わる新たな植物ホルモンと言えますが、本学科における発見以降の研究の歴史も浅く、農作物や花卉園芸植物における外的な効果も未解析で、植物の成長調節物質としての有用性が大いに期待されます。サーモスペルミンの合成阻害剤の開発にも成功し、ザイレミンと名付けて実際に商品化しました。ザイレミンは道管分化を過剰にして矮化を誘導できる可能性から、果樹の矮化剤の有力候補になると考えています。その他の植物ホルモンとサーモスペルミンやザイレミンを組み合わせて、木質バイオマスや除草剤に関する応用研究を行う余地も十分に残されており、そうした実学展開にもつながるモデル植物を用いた実験の生育環境や技術、情報などを有しています。

研究に用いる分析機器等

・研究に用いる分析機器等.pdf
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